My hero Part4

2011 - 02/18 [Fri] - 19:13

この世で最も英雄的な行為は
四つの壁の中で
家族のプライバシーの中で行われる
      ―ジャン・パウエル・リヒター




【ウィッシュ=フローラ】

黒い長髪、中性的な容姿の男
非常に強大な魔法使いである

子供のような無邪気さと
大人のような冷静さを併せ持つ


【コーネ=フローラ】

芯が強く、聡明な金髪の女性
ウィッシュとは最愛の間柄

彼女は苦悩している者を
癒すことに幸せを見出す















さっきからなんども
通信機でウィッシュを呼んでるのに
返事がない



もう夜遅いのに





リビングでは
リンゴを剥いたナイフが
テーブルの上に
片付けもされないままほったらかし





電気をつけているのに
なんだか薄暗い





私はひとり
ソファーに座って
ウィッシュの帰りを待つ















ウィッシュは冒険が好きで
自由なのがいいと思う人

だからどこかの組織に入ったりしないし
定職にも就いていない
(しっかりとお金は
 稼いでくれるんだけどね)





それでときどき思うの



私が邪魔なんじゃないのかって





ウィッシュは優しい人
人の気持ちに敏感なの

私が悲しまないように
ちゃんと配慮してくれる





でもそれは
私を悲しませないようにって
無理してやってるだけなのかも・・・










ウィッシュは・・・今の生活で
満足しているのかな





ウィッシュだったら
もっと他にやりたいこと
ウィッシュにしか出来ないことが
たくさんあるはずだから

だってウィッシュは神さまのように
望んだこと、願ったこと
全部が思い通りになる魔法使いだもの










私がワガママなせいで
ウィッシュは疲れちゃう・・・










もしかしたら
私と一緒にいるのにうんざりして
もうこのまま帰ってこないのかもしれない





そんなはずはない、と思っても
夜の10時まで連絡一つ無いのは
今までにないことだし















自分自身を思いつめると
小さいころの私
・・・私が死ぬ前の奴隷だったときの
思い出したくもない日々を
勝手に思いだしてしまう





初めてウィッシュと逢った日
橋下でそうしていたように
膝を抱えて泣いてしまった










私はウィッシュに頼っているだけ

自分では何も出来ない
孤独に耐えられない
どうしようもない弱い人



ウィッシュのそばにいる資格は
私にはないのかもしれない





あぁ・・・そう思えば思うほど
涙がとまらない

ひとりに慣れなきゃいけないのに
それでもひとりが怖い

お願いだから帰ってきて・・・ウィッシュ






























「・・・ただいま・・・?」



顔をあげると
驚いたような
泣いたような
困った顔のウィッシュがいた!

たくさんの買い物袋を
後ろにおきながら



「・・・コーネ、ただいま・・・?」





私は泣くのをやめなかった

「おそいよぉ~!」と叫んだあと
もっとたくさんの涙を流して
ウィッシュの胸に飛び込んだ



訳も分からないまま
泣き出す私を
ウィッシュは優しく抱きしめてくれた










そのままソファーに座って
少しのあいだ
ウィッシュの温かみを感じていた















頬に私の涙じゃないものが落ちる



見上げると
なぜかウィッシュも泣いていた





「どうしたの・・・?」

「・・・もらい泣き」





愛おしくって
ウィッシュの顔を手繰り寄せて
ほっぺたをすりあわせた





私のより温かいのが
私の頬に流れる





ウィッシュは余計に泣いてしまった

強く抱きしめられて
ちょっと痛かった




















どうして遅くなったのかを聞くと
ウィッシュはマフィアのボスを捕らえて
警察に引き渡していたんだって





その直前に
マフィアから100万ユーロを条件に
仲間にならないかと誘われたから
貰うだけ貰って
あとは護衛も含めて
その場にいた全員を眠らせたとか





それで帰りが遅くなったことを
私に許してもらおうと
近くで貰った大金を使って
私が欲しそうなものを
買っていたから遅くなったの!





高級なカメオ<アクセサリー>
名物のワイン
有名ブランドの靴や服飾

頭に思い浮かんだものを
次から次へと買っていた

そうしたらいつの間にか
こんな時間になってしまって・・・










どうして泣いているのかと
ウィッシュは私に訊いた

「電話してもでなかったもん」
とふてくされると
「あぁ、通信機を部屋に忘れてさぁ・・・」
なんてマヌケなことを言った




これじゃあ私が
勝手に泣いてしまったところに
変に自己解決したからバカみたい!

ウィッシュを手繰り寄せていた両手で
ウィッシュの両耳を思いっきり引っ張った





「ちぎれる!ちげれるぅ!!」と喚きながら
ウィッシュは両手両足をじたばたさせた















情けなくて、ヌケている
私のウィッシュ



そんなウィッシュが
いちばん大好き!




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