animating diva Part1

2011 - 02/27 [Sun] - 20:35

子供が生まれたら犬を飼いなさい

子供が赤ん坊の時
子供の良き守り手となるでしょう

子供が幼年期の時
子供の良き遊び相手となるでしょう

子供が少年期の時
子供の良き理解者となるでしょう

そして子供がおとなになった時
自らの死をもって
子供に命の尊さを教えるでしょう
―イギリスの諺(?)

















「女の子か」

「そうね」

「おう」



「・・・ねぇ」

「あ?」

「今度は私が
 名前を決めてもいい?」

「あぁ・・・」

「『あぁ・・・』って・・・
 いいの?ダメなの?」

「いい」

「・・・どっち?」

「いい!」

「だからどっち!?
 イエスかノー、どっちなの!?」

「イエス!」

「そう」



「―じゃあ、この子は
 シルビアなんてどう?」

「シルビア?」

「えぇ、髪が銀色<シルバー>だからシルビア」

「そんなのでいいのかよ
 なんか単純だなぁ」

「いいじゃない
 ウィッシュ<長男>だってシンプルで
 ありがちな名前でしょ?」

「シンプルかぁ?
 オレ的にはお前にダメって言われながら
 精一杯悩んで編み出した名前なんだがなぁ」

「私の口癖からとっただけでしょ」

「いや、でもさ・・・」

「なんかある?」

「いや・・・」

























少女が家に帰ると
いつも手は泥だらけだったし
濡れた髪にいろんなモノが絡まっていた

腰に巻きつけた脱いだ上着に
獣臭さが染み付いていることもよくあった

上半身はスポーツブラで胸を隠すだけで
もともと白かった肌は
いつも日に焼けて褐色だった

アウトドア用品を自作の縄で
ロングパンツにくくりつけては
いつも野に生きる動物たちと遊んでいた










名前はシルビア



地球とは違った
小さな世界に住む少女

ほんとうに小さな世界で
空を飛び続ける渡り鳥が
常に朝日を見続けられるくらいだ

穏やかな海と同じ広さの
平和な島の一番高いところに
彼女の家がある



もともとその世界には
まだ人間の恐ろしさを知らない
野生の動物たちが住んでいた

よくシルビア含む
この世界の住民<フローラ家>は
のんきに動物と戯れていた





なかでもシルビアは
四六時中動物たちと遊んでいた





夜、彼女が帰ってこないと
一家が大騒ぎになって
小さな世界中を探してみたが

呆れたことに草の上で
夜空を仰いで寝ていた

しかも羊を枕にして





蛇を家に持ち帰ったこともあった
友だちを紹介するみたいに

動物(というより虫)がダメな母親<ソフィア>は
シルビアの首にぶら下がり
細い舌から息を漏らす様を見て
悲鳴をあげたことも懐かしい





「お?おもしれぇじゃねぇか!」と
頭を撫でてやった父親<ロバート>も
海からエタイの知れない生き物を
笑顔で見せ付けられたときは
さすがに悲鳴をあげた





母親はそんな女っけのない
シルビアを見ても
お淑やかさとか
慎ましさとか
女らしさを押し付けたことはなかった

ただ彼女の可能性<魔力>を潰さないよう
そっと見守るだけだった

























いつからか彼女は動物と話しはじめた





他の家族のように
魔法で"会話"することもある

だがそんなものは使わなくても
鳴き声や尻尾の振り方だけで
動物の"気持ち"が分かるようになった



五感も動物並みに研ぎ澄まされた

鷹のような眼を持ち
犬のような鼻を持つ

暗闇でも難なく道を歩くし
水底に沈んだ物を正確に言える










とはいっても
人間の情緒を動物が理解することは
まずありえないだろう





そこで魔法の出番だ



彼女は人間のような
繊細な心情を動物に伝えるために
よく唄を唄っていた



その唄には詩もなければ
呪文を言っているわけでもない



鯨の残響や獅子の遠吠えのような
単純な音を繰り返すだけだ





しかしその声を聞いただけで
動物にもシルビアの心情が分かるのだ



言葉を使っていないはずだが
"唄"や"咆哮"や"鳴き声"とが交錯するそれは
れっきとした"会話"だった















草原を散策しながら
挨拶代わりに唄声を響かせると
たくさんの動物たちが集まる



いつもこのような光景が
小さな世界で繰り返されていた




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