mind sketching -painting-

2011 - 07/01 [Fri] - 23:33

人生に色を




【ウィッシュ=フローラ】

無邪気さとニヒルさの間で気ままに生きる世捨て人
催眠療法のために両性から好感を持たれる中性的な容姿をする

極限まで研ぎ澄ました色のない光<魔力>を自由自在に操り
魔力を神のように崇める独特の宗教観を持つがどこかぬけている


【コーネ=フローラ】

芯が強く、聡明で笑顔が似合う金髪の女性
人助けに喜びを感じる純粋な一方、我儘な一面も

事実上の奴隷だった彼女は、死の直前ウィッシュと出会った
幽霊となって今は彼に寄り添うように暮らしている


【レイティア=ノーノ】

人魚の少女、金髪、清楚な感じが漂い慎み深い
何時までも子どものままでいられるように、長年眠り続けていた

目が覚め、ようやく大人になることを受け入れた彼女は
ウィッシュたちと暮らす中で、心身共に成長してゆく


【シャミッソー=ヘッセ】

瑠璃色の髪を短く結えた、色白のエルフの優男
偉大な画家を目指して、気の向くままに放浪している

遠慮を知らず、所構わず大声をまき散らす迷惑者で
周囲からしばしば白い眼で見られるが、絵描きとしては一流




~あらすじ~

旅の絵描き、シャミッソーは憧れのウィッシュと出会い
意気投合するままにウィッシュは彼を自宅に招いた

シャミッソーはウィッシュの住む世界を
是非とも絵に描きたいと
相変わらず無遠慮にコーネとレイティアに願う

コーネはせっかくのお客様だからと
かなり癖のある彼に戸惑いながらも承諾するが
レイティアはどうにも彼を受け付けないようで
あからさまに嫌味を見せつける















バルコニーで自前の三脚椅子に座るシャミッソーは
すぐ隣に丸い小型のテーブルの上に道具を置いて
鋭い目つきでキャンバスに向かっている

彼は今、辺りの風景を一望できる
この世界で一番高い所にいるのだ



この小さな世界にウィッシュとコーネが来たときは
絶海に浮かぶ荒れ果てた孤島のようだったが
ウィッシュの強大な魔法を以って
今のような一面の花畑が広がる世界となった

水面に輝く太陽の光にも
永遠に飛び続ける白い鳥にも
そよ風に揺らめく花畑の動きにも
全てウィッシュの一部が詰まっている
シャミッソーはそう考えたのだ



細い指に絵筆を絡め
毛の先一本で輪郭をなぞる

ゆっくりとした筆運びには
一切のブレがない


庭ではウィッシュが
刃引きの日本刀で素振りをしている






「…シャミッソー、紅茶飲む?」

バルコニーの扉から出てきたレイティアが
小皿にティーカップを乗せて言った
とても嫌そうに



また甲高い大声を聞くとなると
レイティアは鳥肌が立つ思いだが
シャミッソーは振り向きもせずに
キャンバスに白色を塗っている



―丁度良い、せっかくだから
黙って彼の傍に紅茶を置いて帰ろう

そうすればコーネの言いつけも守ったことになるし
彼の土臭さに眉を顰めることもなくなる


足音、というよりは
下半身の尾びれを引きずる音をたてないように
そっと彼の傍にあるテーブルの上に紅茶をおいて
逃げるように出入り口に向かう



鉄の集中力を発揮しているシャミッソーは
絵筆に水を含ませるために
隣にあるテーブルの上にあるはずのバケツに
筆をいれたつもりだったが…


再び絵筆をキャンバスに近づけている途中
彼は何かに気付いて「のわぁ!?」と叫んだ
たまらずレイティアは振り返る


「なんなんだい!この水は!
 何かが違う!誰かイタズラして
 バケツの中に下水でも入れたのか!?」


椅子を倒しながら立ち上がって
慌ててテーブルの上を見ると
いつの間にか白い絵具が浮かぶ
ティーカップがテーブルの上にあった



「…茶色って使ったっけ?」

ティーカップを掲げて
唖然とするシャミッソー


「なによ!ひどい!
 せっかく淹れたのに!」

すかさずレイティアが駆け寄り
シャミッソーからカップを奪い取る


「あれ、キミいつの間に?」

「いつの間に、じゃないでしょ!
 せっかく呼んだのに、集中していたから
 そっとおいてあげたのに…!」

「そ、そうなのか…すまなかった」



レイティアはふくれながら
小皿ごとカップを持って帰ろうとする



「そうだ!せっかく来たんだから
 ちょっとボクの絵を見てくれないかな!?」


シャミッソーがレイティアの腕を鷲掴みにして
強引にキャンバスの前に引き連れた


「別に完成してからでいいわよ!
 ウィッシュに見てもらったほうがいいのに!」

「違うよ~ウィッシュにこそ
 完成してから見せたいんだ!
 途中で見せるより、完成品を見せた方が
 初見でのインパクトが大きいでしょ!?」



後ろの方から聞こえる彼の大声に
刀を振る腕を一瞬止めるウィッシュ

しかし、あえてそのまま素振りを再開した



「知らないって!」


「わぁ~!!行くな!ダメ!おねがいぃ!!」


「あぁもう!わかった!わかったから!」


手すりに止まっていた小鳥が逃げるほど
彼が大声で喚いたので仕方がない


シャミッソーは椅子を立たせて
強引にレイティアをそれに座らせる




彼が偉大な画家を自称するなら
さぞかし、ここからの絶景を
一つも逃さずに描写しているのだろうと思ったが…


「なにこれ…ピカソの真似?」


キャンバスの下の方から
家の庭、花畑と道、海岸、海、空と描かれているのは
色遣いと、描写の比率でなんとなく分かった


だが、舞う蝶の羽は似つかないほど丸く
花の色はあり得ないほど白めの色
海は大げさなほど光り輝いて
空にはあるはずの雲が一つもない

全体的に"眩しい"色遣いで
あらゆるところが微妙に違っている

子どもが虹にたくさんの色を継ぎ足すように
彼は面白おかしくたくさんの色を
使っているようにも思えた



「全然見える景色とちがうわ
 …もちろん、わざとやってるんでしょ?」

呆れたようにレイティアが言うと
待ち構えていたようにシャミッソーが答える

「その通り!キミは見る目があるね~!」

顔を近くして大声をあげるシャミッソー



「なんでだと思う?」

「奇を衒うためでしょ
 アンタが大声あげるみたいに」

「奇を衒うだなんて…失敬な!
 ボクがそんな小物に見えるのかい!?」

「声だけなら大きいと思うわよ」


「いいかい!?」
シャミッソーは正面から
レイティアの両肩を力いっぱいに掴んで
鬼のような形相で熱弁を始めた

「そもそも、見えるものが全てだと思うのが
 根本的に間違っているんだ!
 昼の空は"青い"かもしれないけど
 失恋した人が見たら"蒼い"かもしれない!」

("あおい"かもしれないけど"あおい"…?)

「ボクたちは目に見えないものを感じて
 それに心から感動することで
 初めて芸術が生まれるんだよ!
 レイティア!キミは確か唄が上手いんだよね!?
 キミだって形をもたないモノを感じる
 素敵な心を持っているじゃないか!」

「…」

「キミはボクをヘンなヤツだと思うだろうけど
 ウィッシュも同じようなことを言っている!
 魔法とは、無から有を生み出すこと!
 そして、見えないものを見ようとする
 そんな豊かな心の持ち主こそが魔法使いだって!」

「アンタが言っても
 虎の威を借りる狐にしか見えないわ」

「くっそぉー!
 そこまでボクをバカにするか!
 よぉし、分かった!いいだろう!
 キミがボクをどんなに言おうとも
 ボクはこの作品を持って
 ボク自身の実力を証明してやるからな!
 ほら、どいて!」


最後にシャミッソーは
レイティアの腕を引っ張って立たせた

彼がひょいっと椅子に座るなり
燃えるような目はそのままに
さっきまでのように絵筆を指に絡めた




「…コーネがアンタを呼んでた
 もう昼になるのに
 朝ごはんも食べてないから
 心配させてるんじゃないのかしら?」


シャミッソーは繊細な筆運びで
白いキャンパスに命を吹き込んでいる


「聞いてない、か…」





(To be continued...)


No title

sunさん こんばんは☆”

>>昼の空は"青い"かもしれないけど
>>失恋した人が見たら"蒼い"かもしれない
  ・・・これすっごいわかります!

人の気持ちの持ちようで感じ方はまったく違う
それを適切に表現するのは難しいけれど
sunさんのこの2行はとってもいい感じに表現していますね!

シャミッソーの描く絵・・・完成が見たいです(^◇^)

あっ!そうそう!
優様・・・なんて照れ臭いので呼び捨てでいいですよ♪

優さんへ

では、なれなれしいようですが
優さんと呼ばせていただきますね(・ω・*

青いと蒼いは本当に微妙な違いなんですよね
でも、当の本人からしてみれば
この差は歴然たるわけで…

そういった"目に見えない物"を表現するのが
シャミッソーの描き方であるのです
次回でこのエピソードは完結になりますので
是非ともご覧になってくださいね(^^ノシ

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