mind sketching -finishing-

2011 - 07/10 [Sun] - 11:10

絵に籠められた無数の想い




【ウィッシュ=フローラ】

無邪気さとニヒルさの間で気ままに生きる世捨て人
催眠療法のために両性から好感を持たれる中性的な容姿をする

極限まで研ぎ澄ました色のない光<魔力>を自由自在に操り
魔力を神のように崇める独特の宗教観を持つがどこかぬけている


【コーネ=フローラ】

芯が強く、聡明で笑顔が似合う金髪の女性
人助けに喜びを感じる純粋な一方、我儘な一面も

事実上の奴隷だった彼女は、死の直前ウィッシュと出会った
幽霊となって今は彼に寄り添うように暮らしている


【レイティア=ノーノ】

人魚の少女、金髪、清楚な感じが漂い慎み深い
何時までも子どものままでいられるように、長年眠り続けていた

目が覚め、ようやく大人になることを受け入れた彼女は
ウィッシュたちと暮らす中で、心身共に成長してゆく


【シャミッソー=ヘッセ】

瑠璃色の髪を短く結えた、色白のエルフの優男
偉大な画家を目指して、気の向くままに放浪している

遠慮を知らず、所構わず大声をまき散らす迷惑者で
周囲からしばしば白い眼で見られるが、絵描きとしては一流




~あらすじ~

シャミッソーはウィッシュの世界(自宅)に居候する

絵を描いている時の彼の集中力は計り知れず
レイティアが声を掛けても気づかない程だった

ふとした拍子にシャミッソーは彼女に気付いて
制作中の絵の感想を彼女に求める

奇抜な絵だとレイティアがあしらうと
シャミッソーは自身の芸術観を一方的に熱弁した

彼が言うだけ言った後は
ウィッシュに見せるための絵を完成させるため
再び凄まじい集中力を発揮して制作に取り掛かった















『もしも もう一度あなたに会えるなら
 たった一言伝えたい ありがとう ありがとう』

開いた窓からの日光と木陰を浴びながら
レイティアは好きな歌を歌っている

窓の縁に寄ってきた、丸いお腹を持つ
小鳥たちの黒い目には
レイティアの桃色の頬がくっきりと映る

どこまでも澄んだ彼女の歌声を聴きながら
ウィッシュとコーネは感傷に浸ったように
静かなリビングでアロマティーを飲んでいる





「ウィッシュ~!見てくれボクの絵を!」


いきなり屋上から響いたシャミッソーの声

驚いたレイティアは歌うのをやめて
窓縁の小鳥たちは一斉に逃げ出した

強引に淡い夢から連れ戻されて
呆れて物も言えないウィッシュと
危うくお茶を吹き出しそうになるコーネ



ギリギリと音を立てながら
キャンバスを抱えて階段を降りるシャミッソー

中途半端に開いていたドアを
更に押しのけてリビングに入る


「ようやく完成したんだウィッシュ!
 ほら、見てみて!キミなら分かるだろ!」


ウィッシュとコーネは
椅子に座ったままで
これみよがしにキャンバスを抱える
シャミッソーの方に身体を向ける





その絵は全体的に淡い色遣いだ
しかし、同時にどことなく鮮やかでもある


雲一つ無く、花畑に揺れる蝶は少なく
どこか寂しいようにも見える
かといって、それは孤独を強調したわけではなく
むしろ悠久の安らぎにさえ思われる


空を巡り続ける白い鳥は
逞しい翼を羽ばたかせ
広大な花畑は誰に見られるでもなく咲き誇る





「どうだいウィッシュ!?」

「…」


ウィッシュは含み笑いながら
ただこの絵に魅入っている

コーネは安堵して
無邪気な目をしたウィッシュを見つめるなか
レイティアだけが怪訝な表情をする


「おい、ウィッシュ!?
 なんか答えてくれよ!」

「…世間から遠く離れて
 孤独の中に悠久の安息を見出す
 …まさに俺だな」

ウィッシュは低い声でそう言った



「やっぱり!キミならこの絵に籠めた
 ボクの想いが分かると思ったよ!
 いや、ボクがキミの想いを描いたというべきか」

キャンバスを壁に立て掛けたあと
得意げな顔をして両手を腰に当てるシャミッソー

ウィッシュがコーネの様子を伺うと
彼女はにっこりと笑ってくれた



勝ち誇ったような顔のシャミッソーは
日光と木陰に彩られたレイティアの顔を見る

「どうだいレイティア!
 ウィッシュはボクの絵を認めてくれた!
 それも、ただ誉めるだけじゃない!
 ちゃんと心の眼でみてくれた!
 言葉の裏の意味を考えるようにね!」



彼の言葉を聞いたレイティアは
視線がおぼつかなくなってしまう

「ねぇウィッシュ
 そんなに良い絵なの?」


ウィッシュはどこか満たされたような
優しい目をして返答する

「どうかな?
 少なくとも、俺にとっては
 いい絵だけどもね」

「自分のことが描かれているから?」

「それも…あるけど…」

「…?」


ウィッシュは暫く天井を仰ぎ見ていた


「…ごめん、上手く言えない
 ただ俺が良いと思った、それだけかな」

「ふぅん…コーネはどう思う?」

「私はね、なんか
 無邪気で綺麗な絵だなと思ったよ」


落ち込んだようにレイティアは俯く

「私ってセンスないのかしら…」

手を前に組みながらそう言った


「そんなことないさ!
 芸術は普通じゃないことをするんだから
 変な目で見られても当たり前!
 答えがないテスト、いや!
 問題ですらないんだからさ!」

「そ、そうなんだ…」

どうやらシャミッソーの言葉が
イマイチ分からなかったようだ



「うん?良く分からなかったかな?
 まあいいや、"百聞は一見にしかず"だね
 せっかくだから、次はキミを描いてみようかな?
 人魚を初めて見たときの感動が
 これ以上薄れないうちに…」

「なにが『せっかくだから』よ!
 アンタに描いてもらったら
 変な絵になりそう!」

「変な絵?大丈夫だって!
 "ありのままのキミ"を描いてやるからさ!
 "民衆を導く自由の女神"とかで
 片方だけ乳房を露出させるような
 アレゴリー(比喩)は一切使わないから!」

「アンタ私をなんだと思ってんの!?
 全身を切り刻んでから塩水に沈めるわよ!」

レイティアが金切り声を上げると同時に
激しい剣幕で彼の襟元を締め上げる


「待った!冗談だって!
 お礼だってば!そう、お礼!
 一宿一飯の恩義だから!」

「一宿一飯どころじゃないでしょ!
 何日いたと思ってんの!?」

「わぁ~!分かった!
 お礼はする!ちゃんと!
 だからもう首筋に爪たてるのやめて!
 お願い苦しい!」

激しくシャミッソーが咳き込んでいるのをよそに
尚もレイティアは彼を激しく揺さぶる


「おぉ、しばらくは収入が増えそうだな
 シャミッソーが売った絵のおかげで
 久しぶりに二人っきりで旅行ができそうだ」

「旅行かあ、レイティアも連れて行きたいね」

「あ、ごめん、レイティアもか
 そういえば三人揃ってどっか行くのは
 初めてになるのかな?」

「そうだね、行くんだったら
 綺麗な海とかがいいね」

「うん、楽しみだな~」



「ちょっ!どっちかボクを助けて!二人とも!!」





(The end)




No title

sunさん こんばんは☆”

シャミッソーの絵が完成しましたね(^◇^)

目を閉じて想像してみました

儚げに揺れる花は絨毯のように広がり
数匹の蝶が時間と共にひらひらと舞い
かすかに吹く風は花びらと蝶を揺らす
白い鳥も風になって大空を優雅に舞う

こんな絵が描けたらいいのに・・・って思いました♪

 …まさに俺だな」ってつぶやいたウィッシュは
孤独なのかしら?

No title

ここまでご覧になっていただき
ありがとうございましたm(__)m

ウィッシュは、孤独でも気高く生きたいという
その願いを以って花を植えたり白鳥を放ったり…
その気持ちをシャミッソーが汲み取った結果
彼の気持ちを"模写"したと言えるのです

故に、シャミッソーが描いた絵とは
(彼にとっての)ウィッシュの気持ちそのもの
非常に美しい絵となったのですb
憧れの人の心情ということで
かなり美化されているようですが(^^;

またいらしてくださいね(・ω・*

No title

sunさん、こんにちは|ω・`)

シャミッソーって不思議な名前だなあ、と思います。
先入観もあるのだろうけど、最初見た時からなぜか、芸術家の名前としか思えなかった‥‥
彼が書いた絵を、ウィッシュが「まさに俺だ」と表現するところが印象に残りました。

孤独に安寧を見出しながら、それではいけないと葛藤し、傷つきながらも前を見て進んでいく強さも持つようになったウィッシュの魂が描かれているのだとしたら、
それはきっと、世界の穴の世界のように、親の細やかな気遣いに満ちた穏やかで孤独で美しい自然の中に、外へと続く一本の道がつけられた絵なんじゃないかなあと思いました。

絵そのものを、読み手の解釈に委ねているところが、また想像を掻き立てます。
読む人それぞれの解釈がそれぞれに正解なのだから、まさに無限の芸術!
シャミッソー、初めちょっとウザイ変な人だと思っててごめん‥‥www
なんて、ちょっと思いました(ノ´∀`*)

土屋マル様へ

あぁ、別にウザい人と思っても構いませんよ(・ω・b
ウィッシュもコーネもうざがってますし
レイティアに至っては見ての通りですからねw

シャミッソーという名前自体が
響きの良い言葉で私は気に入っております
仰る通り、まさに芸術家って名前ですからね、中身はさておき

しかし、彼は"解釈によって無限の芸術を生む"なんて
大それたことを言うのに見合った実力を持っています
マル様がご想像された通り
ウィッシュの家から海岸までは
花畑に囲まれた一本の緩やかな道がありまして…
まさにウィッシュの生き方の象徴とも言えますねb

コメントありがとうございました
お時間あらば是非またいらしてくださいね(^^

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