愛の姿が見えぬ者 Part1

2012 - 01/07 [Sat] - 19:47

女をよく言う人は女を十分知らないものであり、
女をつねに悪く言う人は、女を全然知らないものである。



【ウィッシュ=フローラ】

無邪気さとニヒルさの間で気ままに生きる世捨て人
催眠療法のために両性から好感を持たれる中性的な容姿をする

極限まで研ぎ澄ました色のない光<魔力>を自由自在に操り
魔力そのものを崇拝する変わり者だが、天然ボケでとても繊細


【コーネ=フローラ】

芯が強く、聡明で笑顔が似合う金髪の女性
人助けに喜びを感じる純粋さの一方、我儘な一面も

事実上の奴隷だった彼女は、死の直前ウィッシュと出会った
幽霊となって今は彼に寄り添うように暮らしている


【レイティア=ノーノ】

人魚の少女、金髪、清楚な感じが漂い慎み深い
何時までも子どものままでいられるように、長年眠り続けていた

目が覚め、ようやく大人になることを受け入れた彼女は
ウィッシュたちと暮らす中で、心身共に成長してゆく















夕暮れ、フローラ宅のリビングにて
レイティアは射止めるような眼差しで
ウィッシュを見つめている

ウィッシュが、滑らかな指で
可憐な姫君を擁くように
甘い香りのする赤い薔薇の花束を
丁寧に持っているからだ

特に悪いことをした心当たりはないが
レイティアから冷たい視線を向けられて
妙に気持ちが焦ってしまうウィッシュ


「それ、誰に渡すの?」

レイティアは素気無く彼に尋ねる

「これ?仕事仲間へのプレゼントだよ。
 いつもお世話になっているからね」

ウィッシュはいつものように
余裕の笑みを浮かべながら
丁寧な口調でレイティアに返答している

「女の人?」

瞼を薄くするレイティア

「まあね」

さも当然のように答えるウィッシュ

「コーネは知っているの?」

低く、重い調子で彼に問う

「もちろん。秘密にしていると傷つくからね」

ウィッシュの表情には
特に動揺は見られない

それでも、彼の素振りが気に食わないのか
「ふぅん…」と一言、怪訝な顔をするレイティアだった



「じゃあ行ってくるよ。
 今日で論文に必要な資料は
 全て揃えるつもりだから。
 少々遅くなるかもしれないけど、
 日が変わる前には帰ってくるからね」

ウィッシュは反転して
廊下に通じる扉に手を掛ける

「ウィッシュ、どうして最近
 夜なのに仕事に行くのかしら?
 いつもなら、夜に仕事をするのは
 気分が乗らないなんて言っているのに」

レイティアは、あえて話し声の大きさで呟いた

「夜にしか会えない人だからね。
 じゃあ、行ってきます」

そう言い残して、ウィッシュは扉を閉める




レイティアは、彼が出かけた後も
立ったままで腕を組み
眉間に皺を寄せている


一応ウィッシュは心理カウンセラー
嘘のつき方や、平然を装う方法など
いくらでも知っているはずだ


絶対に裏があるはずだと
レイティアは彼を疑っていた




「レイティア~。
 ウィッシュはもうご飯食べちゃったし、
 せっかくだから女の子同士で、
 美味しいお魚料理がある
 イタリアンレストランに行こう?
 今日はシャミッソーも野宿するから、
 恋の悩みの相談みたいなのもできるよ」


扉を開いて、白く厚い外套で着飾ったコーネは
部屋に入るなりレイティアの難しげな顔を覗き込む


「どうしたの?もしかして、魚、食べられない?
 もしそうなら、ごめんね。
 人間の私が、猿を食べようと思わないのと同じだね」

「そうじゃなくて!
 というか、猿って食べれるの…?」

レイティアは、静かに組んだ腕を解いて
コーネと視線を合わせた


「それより、ねぇコーネ?
 最近のウィッシュ、ヘンじゃない?
 夕方辺りにオシャレして出ていったかと思えば、
 帰ってくるのは夜遅くなのよ…」

レイティアは、顔を強張らせながら言った

「仕事、忙しいんだよ。
 今回発表する論文は、多くの魔法使いが
 いつも以上に期待しているんだって。
 その分見返りも大きいから、
 頑張り具合もすごいんだよ、きっと」

ウィッシュのことを誇らしげに想うコーネは
とても満たされた笑顔で言って聞かせた

「なんて能天気なの!もう…」

レイティアは、一切危機感を見せない
幸せ者のコーネに呆れ返る

「あれは絶対浮気よ!
 薔薇の花束をプレゼントにするなんて、
 好きな人にあげる以外勿体ないじゃない!
 それに、『仕事が忙しいから』なんて、
 浮気の言い訳のよくあるパターンだわ!
 コーネの機嫌を取りつつ、
 不倫相手といる時間を引き延ばすために!」

必死に訴えるレイティアに気圧されると
コーネは狼狽えつつも彼女を諭す

「ウィッシュが浮気なんてしたら、
 すぐ、ボロを出すと思うなあ。
 さっき証拠の論文を見せてもらったし、大丈夫だよ」

「で、でも!ウィッシュがどれだけ優秀か
 コーネが一番よく知っているでしょ!?
 女の口説き文句を考えながら
 鼻唄交じりに仕事をするくらい、
 ウィッシュなら普通に出来そうだわ!」

コーネは軽い頭痛を感じつつも
「年頃だから…」と割り切った


「ウィッシュに限って、それはないよ。
 ドロドロとしたテレビドラマの見過ぎじゃない?」

「コーネ…本気で自分だけは大丈夫と思ってるの?
 そういう風な態度が悲劇を呼ぶのよ。
 客観的に見れば、今のコーネは愚かな登場人物で、
 他人の不幸を啜る屑共のいい餌食だわ」

「そんなに気になるの?
 それなら、レストランでのお喋りのテーマは
 私とウィッシュ、お互いがどれほど想っているか
 一から十まで話してあげる!」

「いらないわよ!彼氏がいない人に言うセリフ!?」


レイティアに冗談を言い放つなり
コーネは「出来るだけ早く身支度してね!」と言い
彼女の自室に戻って行った

怒ったレイティアは顔を赤らめながらも
コーネの身を案じて、憂いに沈む


(…もし、ウィッシュが本当に浮気しているなら、
 私はウィッシュを心の底から憎んでやるわ)


レイティアは胸騒ぎを覚えつつも
彼女の家で着替えをするために部屋を去る


彼女の家は、フローラ宅とそう離れてはいないが
出来るだけ早く準備を済ませるために
それぞれの家のすぐ傍にある
テレポーター(魔法のワープ装置)を経由して
レイティア自身の家へ帰っていった















薄暗い書斎の天井で電球が揺れている

ウィッシュが部屋の扉を
ほんの少しだけ開くと
妖艶な吐息が聞こえてきた


「やだぁ。遅かったじゃない。
 もう三十分近くは待っていたわ」


窓辺で月明かりを浴びる
生足をこれ見よがしに組んだ妖女が
色っぽい目でウィッシュを迎えた

髪は、緩やかなウェーブの長い薄紅色だ
彼女から見て右側の髪は胸の辺りまで
左側の髪は膝の辺りまで伸び
そして、左右の髪はそれぞれ
白い紐を使って束ねられている

細い曲線の睫毛、情熱的に赤い唇
破れた黒のレザーブラから
巨大な乳ぶさの半分以上が露出し
同じ黒色のホットパンツ、サイハイソックス
長い爪に塗られた赤いマニュキア
そして豊麗な肢体全てが情欲を煽る


「あら?早いね、アリーナ。
 これでも、約束の時間よりは
 十分くらい早く来たつもりだけど…」

ウィッシュは、扉から半身を乗り出したまま
アリーナとその女を呼ぶ

「だってぇ~。あんな奴らと一緒にいたって
 何も進歩ないし、退屈すぎて死んじゃうわ」

アリーナの発する言葉は
一つ一つが濡れている
何も感じない乾いた日常を潤すかのように


「ほら、早くこっちに来てぇ…。
 あなたが今の私の全てなの…」

アリーナが、月光に照らされて薄く光る手を差し出すと
ウィッシュは部屋を扉を閉めて中に入る

彼がもつ薔薇の花束が、アリーナの瞳に映ると
「やだっ!プレゼント!?」と彼女は声を上げる

「そうだよ。いつも世話になっているからね。
 香水やアクセサリーとかと違って
 君の美貌を引き立てることはできないけど…
 良かったら、受け取ってくれないかな?」

「いいわ!ありがとうウィッシュ!
 花をプレゼントするなんて、人間はロマンチックね!
 愛を囁く代わりに、花言葉を添えるのでしょう?
 サキュバスやインキュバスでは考えられない!」

「ふふ、気に入ってくれて嬉しいよ。
 赤い薔薇の花言葉は、『情熱』、『愛情』、『美』。
 …有名どころだし、言う必要もなかったかな?」


アリーナはサキュバス
女性型の夢魔で、男性を性的に誘惑し
その精気を奪い取る悪魔だ


「じゃあ、始めましょうか…。
 あなたも今すぐの方がいいでしょ?」

「うん、あまり長引くと
 コーネ達から心配されるからね、ふふ…」





(To be continued...)




えええええΣ(´Д`lll)

sun様、こんばんは♪
久しぶりに【For the wish】の方にお邪魔したら、いきなりの不穏な(?)展開に目が点になりました(笑)

こ、これ‥‥どう決着するんだろう。
まさかあのウィッシュが、そんな‥‥あんなことするなんて絶対絶対思わないですけども、信じてますけども、うおおおおお、何だ何だ~っという感じで、ちょっとぷちパニック(笑)
続き、楽しみにしております♪

サキュバスっていうとどうしても、格ゲーのヴァンパイアセイバー(でしったけ?)に出て来るモリガンを思い出してしまう私です。
最強の美貌と高飛車な性格、そしてどこか憎めない存在。
むむむ、アリーナさん、素敵ですね。

また来ます~♪

土屋マル様へ

逆に考えると、ウィッシュ程の者が
一人の女性からしか愛されないことが
おかしいことだと思うんですよ、ある意味。
大半は、彼の財産などを狙う
下心の偽りなる愛なのでしょうが(-ω-

モリガンですか~。
マヴカプなどでも結構見ますよね(・∀・
ダンテやトリッシュと共演したのが
個人的には嬉しかったなあ。
思いの外、格ゲーの女性陣って
結構有名なキャラクターが多いですよね。
春麗や不知火舞、ナコルルみたいに。

格ゲーの女キャラといったら、
ストリートファイターⅣにおいては
ジュリが私のマイキャラでして。
防御面が弱いので脆い時は脆いのですが
敵を端に追い詰めてラッシュを仕掛け、
無抵抗の相手をフルボッコするのが
とても楽しくて…って関係ない話題でしたねΣ(・ω・;

キャミィやフェリシアもかわゆいですよね(ノ´∀`*)
サクラは、えっと、鉄拳でしたっけ。

私は格ゲーはからっきしで、例えて言うなら、昇龍拳を出そうとして波動拳が出るようなトロ子だったので、いつでもフルボッコにされて悔し涙を飲む方だったのですが、横で見てる分には好きでした(笑)
子供の頃、ワールドヒーローズ(?)という格ゲーを従弟とやり倒した記憶があります。
オーラバースト(?)が好きな時に出せなくて、コントローラーを壊しそうになりましたΣ(´Д`lll)
sun様、このゲームご存知ですか?

って、本当に全然関係ない話でごめんなさい。
つい嬉しくて(笑)

ウィッシュは、確かに少しヒネればすごくモテるはずですよね。
でもだからこそ、ウィッシュはウィッシュなのかなと思ったり。
そんな潔癖さが好きです♪

土屋マル様へ

サクラはストリートファイターですね(・ω・*
ちょっと小耳に挟んだ情報なのですが、
以前まではコミケのジャンルの一つに
『格ゲー』なるジャンルがあったほど、
格ゲーには人気キャラが多いそうです。
なんとなく分かるような気がします(*´ω`*

ワールドヒーローズについては
申し訳ありませんが知らないのです(><;
ですが、身内と対戦に明け暮れたことは
私にも思い出深い(?)記憶となっています。
今でも、たまに弟とスマブラをやるのです。
(Xでは)ウルフでプレッシャーを掛けつつ
焦れて攻めてきたところを迎撃する、
そんな私の戦術が非常に不愉快なのか
互いに大人げない言い合いをしてしまったり…(^^;

良くも悪くも、ウィッシュはキャラが濃いです。
確かに中性的な美貌を誇ってはいるのですが、
人によっては「気色悪い!」と拒絶されたり;
ですが、名声や金と言った面で見れば
女に困ることなど決してないはず。

でも彼はコーネとひっそりと暮らしています。
彼らしいといえばらしいですよね(・ω・

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