音楽学校! Part2

2012 - 01/26 [Thu] - 23:08

ろう者は聞くこと以外は何でもできる。




【ウィッシュ=フローラ】

無邪気さとニヒルさの間で気ままに生きる世捨て人
催眠療法のために両性から好感を持たれる中性的な容姿をする

極限まで研ぎ澄ました色のない光(魔力)を自由自在に操り
魔力そのものを崇拝する変わり者だが、天然ボケでとても繊細


【コーネ=フローラ】

芯が強く、聡明で笑顔が似合う金髪の女性
人助けに喜びを感じる純粋さの一方、我儘な一面も

事実上の奴隷だった彼女は、死の直前ウィッシュと出会った
幽霊となって今は彼に寄り添うように暮らしている


【レイティア=ノーノ】

人魚の少女、金髪、清楚な感じが漂い慎み深い
何時までも子どものままでいられるように、長年眠り続けていた

目が覚め、ようやく大人になることを受け入れた彼女は
ウィッシュたちと暮らす中で、心身共に成長してゆく






~あらすじ~

知らぬ間に成長していたレイティアは
意を決して音楽を学びたいと願い出た

人魚であることがストレスにならないこと
出来るだけ音楽を楽しめること
この条件を満たす音楽塾を
ウィッシュとコーネは探すが
なかなか見つからない

そこでウィッシュが不安を感じつつも
レイティアの期待に沿える学校を紹介すると言う
彼女は恐れず、その場所に行きたいと宣言した















蜘蛛の巣が張り詰めるあばら家の中
埃で薄く汚れた窓辺から差し込む日差しが
シーツの破けたベッドに横たわる
三つ編み金髪女を昼寝から叩き起こす



泥水でも吸ったような三角巾
煤がこびり付いたエプロン

いい歳した大人が少女のようにあくびをひとつ
更にのんびりと背伸びしてから、はっと気が付いた


「あるぇ~?寝過ぎちゃいました~?
 ひぇ~!もう今日のミサが
 もう終わっちゃうじゃないですか~!」


年甲斐もない声をあげると
彼女は血相を変えてベッドから飛び出し
今にも壊れそうな玄関のドアを
吹き飛ばさんばかりの勢いで開く




すると、「はぅ!?」と裏返った男の声と
ドアと何かがぶつかった音が聞こえた

きょとんとした顔を浮かべる彼女が立ち止まると
見知らぬ少女が下を向いて口をおさえていた


「大丈夫!?ウィッシュ!?」
そうレイティアが言ったのにつられて
この大人げない女も足元を見る

見ると、ドアに打ち倒された男の背中は
彼女のボロボロなシューズで踏まれていた


「うおぉ!?どうしたんですか!?」

予想外の場面が襲来したため
焦って彼女はその場で足踏みしてしまう
ウィッシュの肺は更に圧迫される

「あなたがやったのよ!」

呆れ返ったレイティアが非難する

「そ、そうだったんですか!すみませぇ~ん!」

ようやく、彼女はウィッシュの上から足を退ける

「ふざけてるの…?」

レイティアがどう思おうと
この女は至って真剣である



「まったく…相変わらずだね」

ウィッシュが、背中の汚れを手で払いながら
実に不愉快そうな目つきで三つ編み女を見た

「おおぉ!!?天使さん!?
 ごめんなさい!!ごめんなさい!!
 今日もミサをサボってごめんなさい!!
 日曜日は安息日だから、つい!!」

突如彼女は跪いて許しを請い始める

怒りを溜め息に変えて堪えるウィッシュ

「いや、『色のない天使』は通り名だから。
 本当の天使じゃないから、俺は」

あのウィッシュが露骨に嫌な顔をしているのを見ると
レイティアはある種の清々しさと愉快さを感じた




「ウィッシュ…この人誰?」

跪く女を内心小馬鹿にしつつ
ウィッシュの耳元で囁いた

「…レイチェル=ボイド。
 音楽の先生…と言えるのかな?
 とりあえず、バグパイプは上手い。多分」

レイチェルという名の女性は
他愛もない罪の告白に気を囚われているので
ウィッシュも気兼ねなく耳元で答えた


(【レイチェル=ボイド】

 貧乏の生まれで、良くも悪くも信心深い三つ編み金髪女
 うっかり屋なため「仕事の役に立たない」とよく言われる

 よく騙されて大損を踏んでは繰り返し、先行き不安だが
 近所の子ども達から慕われている、ある意味での幸せ者)


「なぁんだ。おっちょこちょいだわ。
 厳しい先生かと思ってたのに。
 大丈夫かしら…?」

心配性の男が不安げな調子で話したので
心清らかな乙女は怖気づいていたのだ

しかしながら、その予想は見事に外れた
それどころか、一連の行動を目の当たりにして
ウィッシュが不安に思うのも分かる気がしてきた


「…実際に見学した方が早いね。
 ほらレイチェル、顔をあげて」

ウィッシュが跪く大人に声を掛けると
レイチェルは涙をぽろぽろと零しながら
上目遣いで彼を見上げた

そんな弱々しい姿を見せつけられたものだから
思わずウィッシュは罪悪感に駆られてしまった

「その…頼みがあるんだ」

「そ、そうすれば許してくれますか!?」

一々反応していたらキリがないので
構わずウィッシュは要点だけを伝える

「…レイチェルは子どもたちに踊りを教えたり、
 バグパイプを演奏しているよね。
 だから、ここにいるレイティアにも
 音楽について何か教えて欲しいんだ」

「ほぇぇ…お勉強したいですか?」

レイティアは両手を前で組み、恭しく頷いた

「悪いけど、俺は音楽の知識は皆無だから、
 具体的なことは言えないんだけど…。
 でもレイティアが楽しみつつ、
 中身のある練習がやりたいと言って、
 俺はここを思い浮かべたんだ。
 どうかな?まずは見学だけでも…」


レイチェルは元気よく立ち上がると
ウィッシュの両手を取り
打って変わって明るい笑顔を輝かせた

「こ、こんな嬉しいことはありませんです!
 天使さんがあたしに仕事を頼むなんて!
 はい!あたしでよければへっちゃらです!」

「ふふ、ありがとう。よろしく頼むよ」

ウィッシュは表情を柔らかくするが
レイティアは表情を更に固くする

レイチェルがあまり頼りなさそうに見えるので
とにかく不安で仕方がない

確かに、どんな場所でもいいとは言ったが…



「ところで、今日の練習はいつから始めるのかな?
 もしまだなら、早速見学をさせて欲しいんだけど」

問われたレイチェルは、再びはっと気が付く

「そうだったです!もうこれから始まっちゃうんです!
 急いで準備しないと、もう子どもさん達が来ちゃいます!」

自分から取った手を振り解いたレイチェルは
その両手を上げ、お尻に火がついたように足踏みする

当然、レイティアの不安はますます募り
半ば風邪をひいたような心地さえした


「早く準備しませんと~!
 えぇと…レイティアちゃん?」

「はい?」

俯いた顔をあげると
音楽の先生は忘れ物をした子供のように
まんまると目を見開いていた

「レイティアちゃんは、歌ったり踊ったり、
 何か得意なことはあるかな~!?」

足踏みを続けたままレイチェルは言う

「…歌うことなら」

彼女を信用していないために
機械的な抑揚のない声で答えた

「うん!歌うのが得意なんだね!
 じゃあ、何か歌うかもしれないから
 ちょっと練習して待っててね~!
 見学するくらいだったら、歌いたいでしょ~!」


大人げない大人はあばら家に飛び込み
バグパイプ等の道具を準備するため
埃を巻き上がらせながら、狭い家中を駆け回った

「そんな!『何か』って何よ!?」

いきなり無理難題を押し付けられたので
年端もいかない少女が反感を持つのも無理はない


そんなレイティアの声も
慌ただしく走り回っている
レイチェルの耳までは届かない





「ウィッシュ、どうしよう…。
 いきなり歌えなんて無理よ…。
 私は人魚で、使っている言葉も違うのに…」

人前に立つ経験があまりないレイティアは
たったそれだけのことでもべそをかいているのだ

「思いっきり歌えばいいんじゃないかな?
 それ自体が魔法だから、言葉が通じなくても、ね。
 人魚のことについては…俺が話をつけてくるよ」

だが優しい言葉の一つや二つで
レイティアの昂った心が鎮まるはずもない

「…個人的な体験談なんだけど、とある世界の少女から
 研究の為に聴かせて貰った歌があるんだ。
 如何せん魔法詠唱用の言語だったから
 詳しい意味は後で調べるまで分からなかったけど、
 聴いた時、心の底から素晴らしいと思ったよ。
 人間じゃなくて、『人工生命体』の少女なんだよ?
 それと同じくらい、レイティアの歌を
 初めて聞いた時は感動したな」

「でも…それはウィッシュだったから…。
 例え、私が人間だったとしても、
 上手いや下手の基準は変わらないわ…」


歌を歌うと言うことは
心を人前に曝け出すことでもある

繊細な心を持つレイティアは
歌うことによって傷つくことを恐れて
高鳴る心臓を両手で押さえているのだ


「初めてだから、緊張しても仕方ないよ。
 縮こまっていると、何時までも緊張が続くから、
 いっそ思い切って歌った方が
 苦しむ時間も少なくて済むよ」

ウィッシュは不安定に心が揺らぐ彼女の前で
無邪気な笑顔を浮かべて見せた



ほんの少し間を置いた後
レイティアは頷いて両手を握り締め、頷いた

「…やってみるわ。失敗するかもしれないけど。
 でも、もう子どもじゃないんだから…」

「うん、頑張ってよ」



レイティアの年頃は、大人がちょっと後押しするだけで
想像を超える心の強さと能力の成長率を発揮する

思春期の少年少女は
ひとたび窮地に追い詰められようとも
大人や老人、幼児よりも立ち直りが早いと
臨床心理士達は口を揃えて言う



ウィッシュも、知識として知ってはいたが
こうしてその力を目の当たりにすると
感心して頬を弛めずにはいられなかった





(To be continued...)




う~ん、レイチェルさん、純朴、という言葉がぴったりくる人ですね(*´ω`*)
可愛らしいイメージです。
この方が、一体レイティアにどんな「音楽」を教えるのか楽しみです♪

ところで、人工生命体の歌って、初音ミク?と思ってしまいました(笑)
実は私、最近ようやく、ボカロ曲というものを聴いてみまして、あまりの名曲っぷりにびっくりしたのですよ(☆∀☆)キラリン
たかがゲーム生まれとか、今まで馬鹿にしててごめん、ボカロ‥‥激しく反省した次第ですorz

また来ます♪

土屋マル様へ

魔法の研究を仕事としているウィッシュが
『とある世界』、『異世界では』などと言った時は、
十中八九、『本当に他の世界に行った経験』を
話している場合が殆どです。
もしかしたら、セントラルの『異能』について
出張して研究しているかもしれませんし、
『四季を操るマルダーノ』について
のんびりと旅しながら研究するかもしれません(´ω`*

私もボカロについてはあまり詳しくないのですが、
聞くところによると世界中で有名になってるそうですね。
なんでも、超最先端のCG技術を駆使して
ミクを疑似的に現実世界でライブをさせたとか。
ずっと未来のようなことだと思ってましたが、
まさか私が生きている内に実現するとは驚きです(・ω・*

sun様、こんばんは♪

ウィッシュがもしもサウスエンドの世界を覗き見たら、きっといろんな気持ちを飲み込んで、ぽつりと「悲しい世界だな‥‥」って言うのかなあ。
と、そんなことを考えました(*´ω`*)テレ
もしもウィッシュが出張してきてくれるなら、ぜひレッジさんに会ってやって欲しいです♪
誰にも読ませる当てのないもののまことを、ただ本と自分で眺めるだけの毎日だから(苦笑)

初音ミク、そんなすごいことになっていたのですか Σ(゚д゚lll)
オリンピックの曲を誰に歌って欲しいか、とかいうランキングで、ミクが一位を獲ったという噂は聞いたことがあったのですが(あくまで冗談のランキングらしいですが)。
改めて聴いてみると、いい歌詞が多いんですよねえ(*´ω`*人)
私は、ミク本人の機械音声よりは、誰か人間がカバーして歌ってる方が好きです。
熱量が少ない、というか、機械音声は、そりゃあ上手いしキーも外さないしすごいんだけど、何かさびしい感じがします。
私だけかな(笑)

土屋マル様へ

仮に、ウィッシュが二つの世界に行ったとしたら…

サウスエンドの方は、調べるもの調べたら
とっとと元の世界に帰ってゆくでしょうね。
「窮屈だねぇ…」と虚しそうにつぶやくでしょう。
他の世界の人が、その世界の問題に関わると
良かれと思ってやったことは必ずどこかで
裏目にでてしまいまうと本人は考えますから。
ジョーの異能を研究したいがために、
彼に死なれては困るため、共闘する…
なんてことはあるでしょうけどね(ーωー

一方レッジの方には頻繁に訪れるでしょう。
旅の進行度合いを見計らって、
次々と彼の所から情報を仕入れるために(・∀・

私も、ボーカロイドの曲が初めて良いと思った時は、
友人がカラオケでボカロ曲を歌っていた時でしたよ。
ですが、機械の方も後数十年もしたら
人間が歌っているのと全く変わらないくらい
流暢な歌声になるのでしょうね(・ω・*

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